LFE チャンネルの制約
重低音エフェクト(LFE)チャンネルは、限られた周波数帯域を持つ、独立した
信号で、ミキシングエンジニアによって作成され、ミックスのメインチャンネル
と一緒に配信されます。Dolby Digital Professional エンコーダで 120 Hz の「ブリッ
クウォール」フィルタを使用すると、LFE チャンネルの使用が下位の可聴 2 オク
ターブに制限されます。Dolby では、サウンドをミックスするときには信号を
80 Hz に制限するよう推奨しています。
ほとんどの音楽制作では(チャイコフスキーの「序曲 1812 年」の有名なキャノ
ン砲は例外として)、LFE チャンネルは必要ありません。LFE 信号は、Dolby Digital
Professional ダウンミックス処理でも切り捨てられるため、強烈なベース信号が
小さなステレオシステムを圧迫することはありません。モノラル、ステレオ、ま
たは Pro Logic 再生で失われる重要な情報を LFE チャンネルに含めないでくださ
い。
LFE はほかのチャンネルとは独立しているため、LFE 信号の生成に使用されるフィ
ルタによって、高い周波数とブレンドする機能が影響を受ける可能性がありま
す。結合力のあるオーディオ信号を確保するには、1 つまたは複数のメインチャ
ンネルに信号全体をまとめます。
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第 12 章
Dolby Digital Professional の出力ファイルを作成する
元来 LFE チャンネルを使わずに作成された素材のために LFE チャンネルを作成し
ないでください。Dolby Digital Professional の 5 つのメインチャンネルはすべてフ
ルレンジであり、LFE チャンネルにより周波数応答が増大することはありませ
ん。Dolby Digital Professional デコーダでは、低周波数をサブウーファーまたはほ
かの適当なスピーカーに送信するベース管理が可能です。LFE トラックがベース
管理を妨害することがあります。